やまこのよもやま日記

自然大好きなやまこの日常を綴ります

星空を見たいならテントから出ればいい。〜シュラポンをめぐる冒険とか〜

誰が言い出したのか知らないが、

「シュラポン」

という言葉がある。

シュラフポンと寝るから、
しゅらぽん。

テントは使わない。
あるのは、地面の上に敷かれた
くたびれたウレタンマットとシュラフ
そして自分の体だけ。

シュラポンを決行するのは、
決まって晴れた夏の夜。
登山道の入り口や、キャンプ場の芝生の上、沢の中で焚き火を囲みながら……。
シュチュエーションはさまざまだ。

大学ワンゲルで山に登っていた数年前、
テントの中は息苦しいとかで、
シュラポンを好む輩がたくさんいた。

しかし、私はシュラポンが嫌いだ。

まず、寝ている間に顔を虫にやられる。
蚊に刺される、アブに刺される、アリに噛まれる。
起きたら、朝露でシュラフは湿っているし、
寝相が悪いと、エアマットからはみ出た足が
地面からの水分を吸ってじっとりと湿る。

最悪なのは、夜中に雨が降り出した時だ。
誰かの

「雨だー!」

という叫び声で叩き起こされて、
半狂乱になりながらシュラフとウレタンマットを抱きかかえて
テントに駆け込むことになる。

そんなわけで私は、
どんなに天気が良くても、
どんなにテントの中が暑くても、
絶対にシュラポンはせずに、テントの中で睡眠をとっていた。

あれは大学3年生の春に屋久島に行った時のことだ。

宮之浦岳の縦走を終えて、
ウミガメの産卵地として有名な永田浜でキャンプをすることになった。

仲間は、砂浜に寝っ転がって
思い思いの場所でシュラポンをしていた。

もちろん私はテントの中で寝ていた。

日が落ちて周囲も真っ暗になったころ、一人が

「星空が綺麗に見えるよ」

と言って、テントの近くにやってきた。

渋々外に出てみると、空が驚くほど明るい。
点描画のように天の川に散りばめられた
小さな星の一つ一つまで、見分けることができた。

そうか、テントから出ればこんな星空が見えるのか。

と、ちょっと納得したような気持ちになった。

そして、テントから出なければ、星空は見えないのだな

とも。

まあ、そのあとはテントに戻って寝たわけですが………笑

快適なテントの中もいいけど、
晴れた暖かい夜は
たまにシュラポンをやってみてもいいかも。
と思った夜でした。

では、今日はここらへんで。

また山で会いましょう!